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お知らせ!最新“耳より”情報

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[28 12月 2016 | No Comment | ]

和食にスポットが当たり始めるとともに、郷土料理が再認識されてきた。うれしいことだが、都会で味わうだけでは真の魅力はわからない。
たとえば秋田のきりたんぽ。近年は全国区の人気鍋ものになり、郷土料理店だけでなく居酒屋でも食べられ、鍋セットを取り寄せて家庭で楽しむこともできる。それはそれでおいしいのだが、雪国特有の湿りけのある寒気のもとで、湯気をふうふう吹きながらあつつっと口に入れるのとでは、美味の次元が異なる。きりたんぽは、地酒を酌みながら秋田訛りの人たちと鍋を囲んでこそしみじみする食べものだと思う。その席に秋田美人が加わっていようものなら、男性にも女性にも一生の思い出になるに違いない。
きりたんぽは、山で働くマタギや樵(きこり)がにぎり飯を串に刺して焚き火や囲炉裏で焼き、鍋に入れたのが始まり。たんぽとは槍の先にかぶせる覆いとも、蒲の穂の別称ともいわれ、秋田杉の串に巻き付けたご飯にそっくりだからと「たんぽ」と呼ばれるようになり、食べやすく切って煮るところから「きりたんぽ」に転じた。現代のご飯はブランド米・あきたこまちの新米なので、焼きたての香ばしさは天にも昇る心地。また、秋田杉と火の移り香が加わるので、思い出すだけでもたまらない。
きりたんぽと秋田県北部の地鶏を芹、舞茸、ごぼうなどと一緒に鶏ガラスープで煮たのが、きりたんぽ鍋。しかし、きりたんぽと言うだけできりたんぽ鍋を指す場合が多い。歳時記でもきりたんぽが冬の季語になっている。角川さんの句からも、鍋の中できりたんぽが香り野菜とともにくつくつ煮えている情景が浮かぶ。
ところで、山の男たちから始まったせいか、きりたんぽにはワイルドな感じが強い。でも、現地では味付け、具がさまざまなうえ、煮るときにはこまやかに細部にまで気を配る。だからこそ深いコク、余韻が生まれ、ひとすすりごとに、あたたかい郷愁の滋味が広がってくるのだ。
秋田で味わうのなら、おすすめは大館と鹿角のはしご。どちらも県北部の大きな街で、車なら約一時間の距離だが、大館は佐竹藩の、鹿角は南部藩の領地だったため、風土性は微妙に異なる。また大館は比内地鶏の元になった天然記念物・比内鶏の本場だし、鹿角はきりたんぽの発祥地だから、きりたんぽ鍋に関してはどちらも自負が強い。それが対抗意識を生み、おたがいに独自の味を生み出している。ここは、ぜひとも両方行ってみたいものだ。
皮切りは、飛行機で大館能代空港に降り立つのが便利。大館では毎日のようにどこかの集落で朝市が立ち、野菜や果物のほか農器具などまで並ぶが、冬はきりたんぽ鍋の材料が目玉商品。きりたんぽを焼きながら売り、ねぎ、舞茸、芹、ごぼう、里芋、食用菊、山の茸、しぼり大根と呼ぶ辛味大根は山盛りになっている。地元ではきりたんぽ鍋には芹や菊が不可欠で、数種類の茸や里芋が入ったり、大根の辛い汁をつけて食べる家もあるなど、風土色が濃いのだ。
比内地鶏は比内鶏の雄にロードアイランドなどの雌を交配させた一代交雑種で、茶色の羽毛をもち、肉は弾力感としなやかさを兼ね備えている。空港近くの「秋田高原フード」は飼育から食肉加工までの一貫生産で、味のよい雌だけを出荷している。
大館で食べる鍋は、きりたんぽの太さはさまざまだし、斜め切りにしたり、ちぎって入れるなどいろいろだけれど、鶏ガラでじっくりスープをとり、醤油、酒、みりんなどで調味するのは共通。煮込みすぎると雑味が出てしまい、せっかくのきりたんぽと鶏肉が泣くという。あつあつをふうふう食べると、黄金の脂が水玉に散った汁がおいしく、歯応えのいい鶏と、山の風趣に富む芹、茸などにもだしがよくしみている。
縄文遺跡の大湯環状列石がある鹿角でも、朝は市が見もの。そして、夕食はきりたんぽコーディネーターを自称する名物女将の「美ふじ」がいい。銀茸やなら茸などの天然茸をたっぷり入れた本格きりたんぽ鍋のほか、たんぽの穴に鰻の蒲焼を詰めたもの、開いてトマトソースとチーズで焼いたピザ風、古代米製たんぽなどのアイディアたんぽが揃っていて、いずれもうなってしまう味である。
なるほど、きりたんぽとは、どんな食べ方をしてもすばらしい究極の郷土米料理なのだった。
きりたんぽ火の香杉の香谺して  千恵子
 
 

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[28 12月 2016 | No Comment | ]

NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便・大人の旅ガイド」に毎月1回、生出演しています。わたしの最近の旅のなかから、とっておきのおすすめ「食」をご紹介するコーナーで、本年度で出演6年目を迎えています。
今年最後の放送は、12月28日(水)深夜0時30分頃(暦の上では29日)の出演で、熊本県のすき焼きと郷土料理についてお話しします。「くまもとあか牛」という特産牛の赤身肉のすき焼きは、一度食べたら忘れられません……。
夜おそい時間帯で恐れ入りますが、どうぞお聴きになってください。

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[5 12月 2016 | No Comment | ]

 ハロウィンの喧騒が過ぎたと思ったら、あっというまにクリスマスシーズンの到来。この国は、舶来というだけで大喜びで受け入れてしまう。わたしもその一人であって、キリスト教徒ではまったくないけれど、十二月二十四日には、イエスキリストの生誕日にはケーキを一切れでも食べないと落ち着かない。
 クリスマスイブにはケーキ丸ごと一個の大包みを抱えて帰らないと、一家の長としてのかっこがつかない──という風潮が生まれたのは、昭和三十年代のこと。第二次世界大戦後、洋菓子材料が入手できなかった頃、ケーキ職人たちはやむなく進駐軍の将校クラブやPXで働いたものだが、そこで目にしたのは、あでやかな七面鳥の丸焼きとクリスマスのデコレーションケーキ。
 まあ、目を見張ったにちがいない。そして、日本が復興し始めると、彼らは町場に戻って店を再開したり新規開業したが、そのうち何人かのアイディアマンが、おそらくは同時発生的に、教会のミサやサンタクロース等をロマンティックな夢いっぱいのイメージとして強調し、きらきらしたケーキをクリスマスの必須アイテムとして売り込んだ。店頭にはツリーを飾り、ケーキには「メリークリスマス」のカードリース、砂糖菓子のサンタなどをかわいらしくあしらったところ、これが大当たり。
 高度経済成長期にバリバリのサラリーマンだった男性にうかがったら、あの時代はクラブやキャバレーでケーキのお土産付きパーティ券を売り出したもので、クリスマスケーキを抱えてのご帰館はそれが始まりではないかとのこと。あれあれである。
 クリスマスケーキそのものも変遷してきた。当初はマーガリン混じりのバタークリームもどきで絞り出したピンクや緑の薔薇がデコレーションの中心だったが、良質の生クリームが出回りだすと、ホイップクリームと苺のコンビが子供たちの人気を独占した。おもちゃやマフラーなどプレゼントを買い込み、最後にケーキの箱を加えて大荷物で帰宅するお父さんの姿が目にも浮かんでくるが、そんな光景も最近は少なくなった。すべてネット通販なのだろうか。
 話をケーキにもどすと、昭和四十年代からは薪の形をしたブッシュドノエルが流行した。フランス語では「クリスマスの薪」の意味。その頃から欧米の一流シェフやパティシェが日本で開店するようになり、本場の本物を広めたのだ。フランス菓子では六本木の「ルコント」が先駆けで、クリスマスにはロールケーキにチョコレートクリームを塗り、フォークの先で木目を付けて、木の実を飾った“薪”が大流行りした。従来の丸形ケーキとは一味違う本場風デザインが若い女性の心を踊らせたのである。
そして現代は、クリスマスシュトレンがクリスマスケーキ界の先頭を行く。ドイツ発祥のイースト生地の焼き菓子だ。洋酒で漬け込んだ木の実やドライフルーツ、香辛料がどっさり入った生地を香ばしく焼き、粉砂糖をまぶして純白に仕上げ、透明セロファンできっちり包んである。時間をおくほど味が熟成するケーキなので、十一月のうちに買って、クリスマスイブまでを指折り数えながら待つのも楽しみのうちだ。
 このケーキは、産着にくるまれたキリストの姿をかたどったものといわれ、ドイツではシュトレンのコンクールがあって、優勝者は洋菓子マイスターの中でも最高の栄誉を得られる。広島の廿日市市には、コンクールで金メダルをとった日本人の職人が開いたドイツ菓子店「コンディトライ・フェルダーシェフ」があり、わたしは毎年ここのシュトレンを欠かさない。なお、ドイツではクッキー生地で組み立てるヘキセンハウスというお菓子の家もクリスマス名物だ。
 一方では、手作りのクリスマスケーキにまさるものはないとも思う。今年は、スポンジケーキ、苺、生クリームだけのシンプルなショートケーキでつくりたい。もっとも、苺はあまおう、生クリームは自然放牧牛ミルク製、スポンジ生地の卵や牛乳にも大いにこだわり、砂糖は和三盆糖で……。あれあれ、市販のケーキより高くつきそうだ。
クリスマスケーキ裸眼にまぶし飴細工  千恵子

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[5 12月 2016 | No Comment | ]

この一カ月あまり、ホームページが乗っ取られてしまい、
ヘンなページにつながるようになっていました。
みなさまには、たいへんご迷惑をおかけしましたが、本日、ようやく開通しました。
わたしのパソコン・アドバイザー、Fさんにおんぶでだっこで直していただいたのです。
どこをどう調整したのか、わたしにはまったくわからないのですが、とてもたいへんだったようです。本当に怖い体験でした。
ともあれ、これからは、もりもり新情報をアップするつもりです。
どうぞまたご愛読くださいますよう、お願いいたします。
 
 
 
 
 
 

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[4 11月 2016 | No Comment | ]

長い間、「ぐんま観光特使」をつとめてまいりましたが、
今月は、群馬テレビの開局45周年特別番組に出演することになりました。
テーマは「道の駅」。じつは、群馬県の「道の駅」は全国で5番目に多く、関東地方では質量ともにいちばん充実しています。
なぜかといいますと、群馬県内は気候風土がさまざまで、産物が多種多様であるうえ、
たとえば下仁田町のこんにゃくのようにユニークな特産品が多いため、
あちらこちらで展示即売しなければ、需要に追いつかないのです。
ですから、群馬県の食を知るには、「道の駅」を探検するのがいちばんということ。
わたしも、何カ所取材してきましたが、素敵な発見がたくさんありました。
11月5日午後9時からの1時間、群馬テレビで、そのときの体験を放映します。
タイトルは「ぐんま、道の駅リレー」。
ご当地のおいしいもの&おみやげなどをご紹介するばかりでなく、
風土と料理の関係を考察するなど、一歩踏み込んで郷土料理の世界を説きあかしています。
みなさま、ぜひご覧になってくださいませ。
向笠千恵子

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[26 10月 2016 | No Comment | ]

NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便・大人の旅ガイド」に毎月1回、生出演しています。わたしの最近の旅のなかから、とっておきのおすすめ「食」をご紹介するコーナーで、本年度で出演6年目を迎えています。
今月は、10月26日(水)深夜0時30分頃(暦の上では27日)の出演で、青森県田舎館村の「田んぼアート」のほか、弘前、黒石などの秋の味覚をお話しします。
夜おそい時間帯で恐れ入りますが、どうぞお聴きになってください。

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[20 10月 2016 | No Comment | ]

本年度の郷土料理伝承学校は「向笠千恵子と行く若狭路うまいもんツアー」を開講します。
若狭の郷土料理の現場を見学し、試食してみることで、現代の“ふるさとの味”を体感するモニターツアーです。
へしこ、鯖のなれずし、杉箸アカカンバ、にしんずし、越前おろしそば、鯖づくし御膳といった伝統料理にふれるほか、敦賀赤レンガ倉庫、敦賀ムゼウム、日本海さかな街などを訪れ、若狭文化全体のなかでの食文化を考察していきたいと思っています。わたくしがコースをコーディネートし、現地での説明も担当いたします。
11月19日(土)開講ですので、ぜひご参加ください。

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[28 9月 2016 | No Comment | ]

NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便・大人の旅ガイド」に毎月1回、生出演しています。わたしの最近の旅のなかから、とっておきのおすすめ「食」をご紹介するコーナーで、本年度で出演6年目を迎えています。
今月は、9月28日(水)深夜0時30分頃(暦の上では29日)の出演で、徳島県の「阿波和三盆糖」を中心にお話しします。手仕事ならではの奥深い「甘味」は、甘党のみならず、辛党にとっても魅力的なものです……。
夜おそい時間帯で恐れ入りますが、どうぞお聴きになってください。

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[24 8月 2016 | No Comment | ]

NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便・大人の旅ガイド」に毎月1回、生出演しています。わたしの最近の旅のなかから、とっておきのおすすめ「食」をご紹介するコーナーで、本年度で出演6年目を迎えました。
今月は、8月24日(水)深夜0時30分頃(暦の上では25日)の出演で、石川県の能登半島の味についてお話しします。
夜おそい時間帯で恐れ入りますが、どうぞお聴きになってください。

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[20 6月 2016 | No Comment | ]

NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便・大人の旅ガイド」に毎月1回、生出演しています。わたしの最近の旅のなかから、とっておきのおすすめ「食」をご紹介するコーナーで、本年度で出演6年目を迎えました。
今月は、6月22日(水)深夜0時30分頃(暦の上では23日)の出演で、佐賀県小城市の「鯉料理」と「小城羊羹」を中心にお話しします。どちらもおいしいのはもちろんですが、「甘味」が共通しているのも確かです。この地方の食文化の歴史から考えていくと、理由が見えてきます……。
夜おそい時間帯で恐れ入りますが、どうぞお聴きになってください。