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名句迷句おいしい句──すきや連句会リポート ①~③

2011 年 5 月 8 日 One Comment

 食って飲んで語らって、そしてすき焼きを切り口にした食文化をさまざまに探ろうというのがすきや連です。その活動の一つとして、句会を開いています。「すき焼き」は本来は冬の季語ですが、なにしろ、春夏秋冬いつでもすき焼きを食べたいというすき焼き好きばかりの句会なので、他の季語を用いた、いわゆる季重ねの句も認めるいうことにしています。「牛鍋」はすき焼きの同義語の扱いにし、すき焼きという言葉の表記は作者の自由にいたします。

 句会が初めての方は見学だけもできます。わたしの所属する俳句結社「繪硝子」の和田順子先生にご指導いただき、スタジオdpの梅田雄一さんに事務局をお願いしております。このコーナーでは、2009年5月から2010年11月のまでの3回の句会を報告いたします。

なお、このHPでは前記のルールにのっとってすき焼きを詠んだ句の投稿をお待ちしてます。素敵な句、楽しい句は随時ご紹介したいと思います。

●第1回 『すきや連句会』 浅草「ちんや」 2009/05/14

 三社祭が近づき、祭り支度で活気あふれる雷門ちんやの座敷で開催。京都の三嶋亭、ニューオータニ岡半、銀座吉澤、新橋今朝、築地さとう、ちんやのご主人、日本酒蔵元などが集まり、和田先生、同じく繪硝子の北見さとる顧問、高平嘉平同人会長、石澤青珠編集長、向笠千鶴子(母)、さらに俳句結社「港」の松岡洋太氏、中村雄昂『百味』編集長をゲストに迎えて賑やかな会になりました。

着席後、指を折りながら自分の句の5・7・5を確認する光景がしばし続いたのち、事前に詠んできた兼題の「すき焼き」の2句と、当日の席題「三社祭」の1句を提出後、各自3句を選句し、先生方に講評をいただき、お待ちかねのすき焼きを賞味して散会しました。

  以下に点を一番集めた梅田さんの句を筆頭に、出席者の当日の一句を記します。(選責・向笠、配列は最高得点の梅田氏以外は順不同・以下の回も同じ。向笠の句は最終に記しました)

 すきやきをかこむゑがほがあふれてる  雄一

 ふぶいてもすき焼き食べればみな平和  太郎

 人混みで三社祭の神輿待つ  朗

 三社祭龍神に乞う空模様  史彦

 母に乞ひてスキヤキ旨し誕生日  進吉

 好物のすき焼き食べてご満悦  敬子

 命ながすき焼きの葱とろりとす  さとる

 すき焼きや合性といふ妙なもの  洋太

 すき焼きや太き腕を差し交はし  順子

 鋤焼や灯ともし頃の浅草に  青珠

 牛鍋を囲む浅草夕薄暑  嘉幸

 鋤焼きの匂ひにゆるる麻のれん  千鶴子

 すき焼き肉の網目うるわし夕立あと  千恵子

●第2回 『すきや連句会』 横浜「太田なわのれん」 2010/03/03

 第5回すきや連横浜大会当日、会場の太田なわのれんさんに有志が早めに集まり、10ヶ月ぶりの句会を開き、桜餅とお抹茶でなごやかな雰囲気となりました。前回と同じく「絵硝子」主宰の和田順子先生が参加くださり、兼題は「すき焼き」と、「雛祭り」または「お雛さま」。今回から事前投句制にし、清記用紙のコピーを配布して即、選句に入れるようにしたため、スピーディな進行ができ、意見交換の時間ももてました。この日初参加のべにや無可有女将とわたしの句が同得点で最高点となりました。

  以下に当日の一句を記します。(選責・向笠)

 子ら巣立ちすき焼きの肉上等に  幸子

 雛祭り牡蠣も子供もよく育ち  達郎

 諭吉忌のハマのすき焼き食(と)うべけり  順子

 雛祭りすき焼き食ふてうたを読む  昭尚

 すき焼きを囲む幸せ鍋の中  朗

 また来たかくしゃみの季節雛かざる  秀晃

 ひよこたち私にとってはお雛様  豊彦

 雛祭り父の卵を泡立てて  鉄弥

 月の井の白酒そへてひなまつり  敬子

 雛よりもすき焼き選ぶ娘かな  雄一

 すき焼きの香りはぐくむ家族の輪  順一

 すき焼きの肉大盛りの卒業期  千恵子

●第3回 『すきや連句会』 日本橋・小伝馬町「伊勢重」 2010/11/29

 師走間近の11月29日の伊勢重での会に先立ち、有志12名が集まり、和田順子先生を囲んで、開催しました。席題は「すき焼き」と、冬の季語で自由題の2句。「割下」はすき焼きの類語として、別に季語が付いていれば認められることになりました。今回はホテル芦屋竹園さんと伊勢重さんからそれぞれ牛肉の佃煮が特選句の賞品として提供され、竹園賞は荒井屋牛鍋店女将、伊勢重賞は向笠がいただきました。

  当日の1句は下記のとおりです。(選責・向笠)

  牛鍋の湯気のむこうの子らの笑み  (荒井)順子

 孫たちとすき焼き囲む日曜日  紋七

 割下の香り残しつ除夜の鐘  渉

 すき焼きがすきでたまらぬすきや連  朗

 すき焼きの割下味見であちちちち  敬子

 すき焼きの残り弁当昼待てず  達郎

 スキヤキトカタカナデカクトクベツナヒ  祥介

 我先とすき焼きの箸交差して  直登

 笑顔咲きすき焼き鍋にこころ沁み  雄一

 すき焼きは最後がいいと待つ私  (和田)順子

 酒の染む蔵の静けさ春を待つ  順一

 すき焼きや大願成就の宵なれば  千恵子

One Comment »

  • 梅田 said:

    いつもお世話になっております。
    すきやき句会で俳句の楽しさを知りましたが、
    普段の生活の中ではなかなか詠むことが出来ません。
    すき焼きの俳句で良いものが詠めたら、
    また投稿させて頂きたいと思っております。

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