Home » きょうの郷土料理! &すき焼き好きの「すきや連」

第6回『すきや連』報告──浅草「ちんや」2010/7/12

2011 年 5 月 8 日 No Comment

 牛肉好きに広がっている赤身肉人気に注目し、黒毛和牛とは別趣の味わいをもち、ヘルシーでもある短角和牛を用いてのすき焼き会となった。向笠が北海道の足寄町の短角牛生産者・上田金穂さんと知り合ったのをきっかけに、ちんやの住吉さんのご協力で実現したもので、日本のすき焼き店主が勢揃いして短角牛すき焼きを食べるのは、おそらく日本最初の試みである。

 当日は、元NHK解説委員で農政ジャーナリストの中村靖彦氏、元NHKプロデューサーでフリージャーナリストの増田淳子氏、食肉業界にくわしい食肉通信社の片平梨絵記者なども参加され、短角牛への関心の高さがうかがわれた。

 開会に先立ち、運営にご協力いただいている元ホテル竹園芦屋営業部長で現スタジオdpの梅田雄一さんの厳父・梅田茂雄さんの『情熱料理人梅ちゃんのおいしい交遊録・巨人ナインが愛した味』(プレジデント社)と、わたしの『食の街道を行く』(平凡社新書)の出版を皆様が祝ってくださった。ありがとうございました。

 そしてみちのく民具の赤べこのモデルとされる短角牛について、上田さんにレクチャーしていただいたのち、「すき焼きは日本酒で」という要望に応えて、茨城県大洗町の月の井酒造店の和の月(なのつき)で乾杯し、待望の短角牛コースへ。

先付の二品、トマト風味の牛スープ煮といちじくの天ぷら牛そぼろ田楽味噌も、短角牛を使用という特別メニューである。すき焼きは、脂が少ないぶん、通常のようにしては割下の味がストレートに肉にうつってしまうということで、ちんやの住吉さんと吉田調理長が開発した挽き肉味噌を肉に載せてなじませながら煮るというレシピが発表され、さっそくレッツトライ!

 このすき焼きについては、「続すき焼きものがたり」を連載中の月刊『百味』2011年4 ~5 月号に掲載しているので、お読みいただければ幸いである。なお、薬味としてふった粉山椒が味噌味にぴったりだったのと、ライト感覚の肉だからともっとボリュームがほしいという声が大きかったことを付記しておく。なにぶん、もともとが赤身主体の肉質であるうえ、上田さんは冬の間も自家製と北海道産飼料しか与えないため、すこぶる健康体の肉になっているのである。

 献立は、先付(トマト風味の牛スープ煮、いちじくの天ぷらそぼろ田楽味噌)からはじまった。すき焼き肉は北十勝ファームで一貫肥育された雌で、ザクは千住ねぎ、豆腐、白滝、春菊、椎茸のほか、変わりザクとして賀茂なす、れんこん、伏見甘長唐辛子、オクラ、茨城県の大子地方特産の凍みこんにゃくが用意され、とくに凍みこんにゃくが好評だった。

 ご飯は福島県産のコシヒカリ、味噌汁、ちんや特製牛佃煮。デザートは、初参加の沖縄砂糖きび機能研究所社長の高村さんの提供。砂糖きびの芯の純粋成分から製造する生なり糖(粟国島産)を使用したはったい葛豆腐きんつば風とさつま芋ムースで、どちらもおいしいとアンコールの声がしきりだった。

 当日の寄せ書きについては、住吉さんのブログに全文が紹介されているので、ぜひご覧いただきたい。なお、わたしの印象だと、「畜産は土からという言葉を短角牛を食べて思い出した」「大地の味、食べて実感」「短角牛は夏草と大地の味です」という言葉に代表される感想を多くの方々が抱いたようだ。

Leave your response!