豪華客船ですき焼きが提供されていた! (5/4号)
2011 年 5 月 4 日
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豪華な食事で知られる船旅だが、現代はビュッフェメニューの印象が強い。ところが、各国が次々と大型客船を建造し、「動くホテル」「旅するホテル」として人気を競った1930年代には、日本の船会社は料理に力を入れて集客につとめたそうだ。
なかでも日本郵船は「料理の郵船」と評判をとるほどで、ディナーの基本はフランス料理フルコースだったが、特別食としてうな丼、天ぷらなどの和食が出たし、さらにはすき焼きパーティが開かれたというからうれしい。
これを知ったのは東京・京橋のINAXギャラリーで開催中の「にっぽんの客船タイムトリップ展」でのこと。日本郵船の伏見丸におけるすき焼きパーティーの写真もあり、甲板にござを敷いてちゃぶ台を並べ、興味しんしんといった表情で、白人乗客たちが鉄鍋を箸でつついている。わたしも写真にじっと見入ってしまい、肉はなんだろう、具はいかにと興味がつきなかった。
すき焼きの歴史的遺物も展示されている。蓋付きの瀬戸物のすき焼き鍋である。説明分には「大阪商船(筆者注・現商船三井)の南米航路客船にて使用されたと推察される。……」とあり、大型スープ皿のような白磁の皿に、上部につまみがついた共蓋が添えられていて、皿の底と蓋の表面には、青で「大」の字がデザインされた大阪商船のロゴが入っていた。船上のことだから、客席で煮るわけにもいかず、厨房であらかじめ調理したすき焼きを盛りつけたのだろう。そうまでしてもすき焼きをメニューに取り入れるとは、当時からすき焼きは日本人の心のごちそうだったに違いない。
この催しは東京では5月21日まで(日曜祝日は休館)、その後大阪のINAXギャラリーで6月4日~8月18日まで(水曜、夏期休業日は休館)。
すき焼き「ちんや」住吉史彦です。いつも「すきや連」では大変お世話になっています。今回の豪華客船すき焼きの話し、スゴく興味深いです。「甲板にござを敷いてちゃぶ台を並べ・・・」というのが良いですね。すき焼きは、すき焼き屋の店舗かご家庭のどちらかで食べるもの、という決めつけをやめて、いろいろな場所で出来たら楽しいですね。楽しい研究課題が増えました。有り難うございます。
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