俳句エッセー〔8〕 幸せと栄養を運ぶ、TKG朝食
2019 年 3 月 24 日
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岡山県の中央部を東西に貫く中国自動車道。院庄ICの南側の美咲町はTKGのふるさとだ。この英語三文字はスリーレターコードと呼ばれる略号で、日本がJPN、東京がTYO、新東京国際空港(成田)がNRTという表示は貨物のタグなどでよく見かける。TKGもそれと同じで、「卵かけご飯」の略称。
このTKGを最初に食べた人物は、美咲町出身の岸田吟香(ぎんこう)。明治に活躍したジャーナリスト、実業家である。吟香は朝食に生卵三、四個を割り、大盛りご飯にのせて、焼塩と唐辛子をふってかき混ぜる習慣だったそうな。
美咲町では、このエピソードを町おこしに活用した卵かけご飯専門の「食堂かめっち」が大人気。地元には大手の優良鶏卵生産会社があるし、棚田百選の「大垪和(おおはが)の棚田」でおいしい米がとれるから、食材についても間違いない。
「かめっち」の卵かけご飯は、卵とご飯のお代わりが自由。味噌汁、漬け物が付いて三百五十円なり。
ただし、急いでかっこむのはおすすめできない。まず、丼のまん真ん中のご飯を一口味わう。その後、卵を割って、ご飯の凹んだ部分にそっと載せる。そして、かき混ぜる前に、黄身と白身をちょっぴりずつ味わっておく。新鮮卵はやはりうまいですからね。たれは、しそ・海苔・ねぎのお好みをかければ結構。あとは混ぜて、よく噛んで食べるだけ。
TKGは栄養的にも完璧。卵でたんぱく質と脂肪、ご飯で糖質がとれるのだ。糖質は即効性があり、脂肪はじわじわ型、たんぱく質は体温を上昇させ、心のテンションを高めてくれる。というわけで、吟香の真似をして朝ごはんにすると、いちばん効果が大きい。幸いなことに「かめっち」は朝九時から営業しているから、朝ごはんにも便利だ。
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