第7回『すきや連』報告──小伝馬町「伊勢重」2010/11/29
発足して丸2年を迎えた今回は、黒毛和牛A5ランクを手切りした肉と、炭火の調理で名高い日本橋小伝馬町の伊勢重で開かれた。炭火すき焼きにふさわしく冬を待っての開催である。
伊勢重は、江戸時代に伊勢の重兵衛が骨董店を開いたのが始まりで、明治2年にすき焼き店に転業し、馬喰町や横山町という大繊維問屋街を控えた当地で名店として親しまれ、現在は宮本直樹社長と、後継者でご子息の宮本尚樹さんが経営にあたる。
今回も定員50名があっという間に埋まる盛況で、4人で一つの炭火コンロを囲む設定。なお、仲居さんが付くすき焼き店でのすき焼きは、客4人に仲居1人がベストの人員配置だそうで、いくら広い座敷のある店でも最大50名がおいしく提供できる限界という。そのため毎回、参加するにはレアチケット並みの競争になってしまうのである。
開会に先立ち、別室で有志による第3回すき焼き句会があり(別項で紹介)、その後、広間で、第6回短角牛すき焼き会のデザートに使用された沖縄さとうきび機能研究所社長の高村善雄さんによる「すき焼きに合う砂糖とは」の卓話があった。高村さんは「ポリフェノールに富み、アンチエイジング効果大と自社の生なり糖をアピールされたのち、割り下に生なり糖を使うと、胃もたれしないために高齢者でもすき焼きをぱくぱく食べられる」と力説された。消費者の健康への関心が高い現代、業界としても検討必須のテーマであろう。
献立は、前菜(牛佃煮サンド、山芋たらこ、牛さくら煮)、みぞれ和え、特撰豚角煮揚げ、生ハム、プチトマト、刺身(鮪、いか)、一口ヒレステーキ山葵添え、すき焼き(岩手県産牛)、うどん、新香、牛佃煮、メロン。
恒例の寄せ書きは、「肉良し、炭火の風情良し……」「歴史、風格を感じるすき焼きでした」「炭おこり割り下の香の立ちにけり」等々、炭火で仕立てる魅力についてのコメントが多く、炭火すき焼き永遠に!の願いが込められているようだ。
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